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そのコメントを聞いた時、何て頑固で、負けん気が強いのだろうと感じた・・・

 今季からイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド(マンU)に移籍したMF香川真司(23)のことだ。10月23日、欧州チャンピオンズリーグ(CL)のブラガ(ポルトガル)戦。接触プレーで左膝を痛めたが、前半限りで交代するまで約20分、顔をゆがめ、必死にボールを追った。けがが悪化する恐れがあるのに、なぜプレーを続行したのか。試合後の答えはこうだった。「(自ら代えてくれと)言いたくなかった」。

 10月の日本代表欧州遠征で取材した時、香川から伝わってきたのは危機感、悲壮感だった。かつて日本人選手が厚い壁に苦しんだプレミアリーグ、その中で屈指の名門であるマンUで開幕スタメンの座をつかみ、リーグ、CLで計8試合2得点。左膝負傷で離脱するまでに残した成績は、十分に評価できる。なのに香川は言った。「(マンU)厳しいチーム。色んな葛藤があるのは事実。だから今は結果を求めたい。それが次につながる」。自らの成績に納得していないのだ。

 左膝を痛めたブラガ戦で無理をした理由は分かる。その3日前のストーク戦。リーグ戦で初めてベンチ入りメンバーから外れ、スタンド観戦を強いられた。日本代表から戻ったばかりで、疲労に配慮しての措置だったが、目の前でルーニーが2ゴールを決めた。香川は8月の開幕から3試合連続で先発するなど序盤戦はトップ下を任されたものの、ルーニーが9月に負傷離脱から戻ると、押し出される形でサイドに配置転換。ベンチを温める試合も増えていた。移籍前、ファーガソン監督に「トップ下で勝負したい」と直訴したという香川だ。悔しさ、焦り、ライバル心……。複雑な思いが胸にこみ上げただろう。

 無理がたたったのか、左膝のけがは予想以上に重く、当初は11月中旬だった復帰の見込みが、さらに伸びた。その間も、マンUは着々と白星を積み重ねている。

 ただ、香川はこんな逆境をも、成長へのエネルギーに変えられると信じている。

 実は、今と同じく香川が悲壮感を漂わせた時期があった。ドルトムント(独)での2季目の前半戦、ちょうど昨年の今頃だ。骨折で約半年間離脱した影響もあって不調が続き、「今は、もがき苦しみながら、何かを得るために練習するしかない」。取材の国際電話で聞いた、あの思い詰めた声のトーン。まさに今の状況と似ている。

 昨季を振り返ると、不調を克服してからの香川は手がつけられなかった。後半戦だけで10得点。技術、スピード、広い視野……。それら卓越した自らの能力を出し切れるようになったのは、精神的にも磨かれたからにほかならない。「苦しい時期も、絶対に結果を残すという強い気持ちを失わず、もっと良くなると信じて続けた。その結果として、また成長できたと思う」。ドルトムントで2連覇を決めた直後、言葉には自信がみなぎっていた。

 新たな試練を乗り越えた時、香川はどんなプレーを見せるのだろうか。「シアター・オブ・ドリームズ(夢の劇場)」と呼ばれるマンUの本拠地「オールドトラフォード」で、主役を演じる日を待ちたい。


http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20121116-00000301-yomonline-spo