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 11月25日に行なわれた14位ホッフェンハイム対5位レバークーゼンの一戦は、レバークーゼンが2-1で順当に勝利を収めた。両チームに所属する宇佐美貴史と細貝萌は、今季ブンデスの他チームから移籍してきた新加入同士。それぞれに昨年とは全く違ったシーズンをすごしている。

 まず宇佐美貴史。シーズン前からレギュラー格とみなされ、常に左のMFとして起用されてきた。だが11月に入ると、ホームで勝利したシャルケ戦は62分、続くデュッセルドルフ戦は53分で退き、日本代表のオマーン戦をはさんで行なわれたボルフスブルク戦ではとうとうベンチメンバーからも外れた。今季初めてのことだっただけに、本人はバベル監督に直接尋ねに行ったのだという。

「びっくりしたので、自分で聞きにいきました。そうしたら監督から『五輪に行っていたり、今回代表に呼ばれたこともあって疲れている。一回リラックスしてほしい』と言ってくれたんです。最初の頃(調子の良かったシーズン序盤)はコンディションも良かったから、と」

 それから1週間後のレバークーゼン戦も83分からの出場にとどまった。

「どういうことなのかな、と。疲れていると判断されても使われるくらいにならないと」と、ゆっくり噛み締め、自分に言い聞かせるように語った。

 この試合ではいつもの左MFではなく、2列目の中央で起用された。ホッフェンハイムの両サイドはワイドに張り出し、中に入るプレイをすることはあまり好ましいとされない。だが今回は、中央でプレイすることに手応えを感じたようだ。

「どんどんボールを触っていけば、何かしら絶対にできる自信はあります。今日は真ん中で入れられて、手応えとしてはすごく良かった。左で出ると、張っているのがこのチームのスタイルなので、中に入ってくるのはあまり良く思われてないという感じ。ああいう感じで真ん中で受けて、右にも左にも仕掛けて行くというのは良かったかな」

 とはいえ、得点を挙げる事ができたわけではない。

「出場した8分間でもやれればよかったんだけど……。出場時間を増やすために、今やっていることをやり続けるだけです」

 1年前、バイエルンではほぼ見放されて腐った状態だった宇佐美とはまったく違う表情だった。

 一方の細貝萌は、負傷をおしての出場だった。前節はシャルケにホームで勝利。相手右サイドで強力な攻撃の起点でもあるファルファンを見事に封じ、キッカー誌ではベストイレブンに輝いた。だが、その直後の練習で左足首を痛め、この1週間ほとんどボールを触っていなかったと言う。ミッドウィークのヨーロッパリーグ、メタリスト(ウクライナ)戦も、突破が決まっているからの温存というより、「プレイできる状態ではなかったから」メンバー外になったと本人は説明した。

 だが、ホッフェンハイム戦は前日になって左SBでの先発出場が決定した。これでリーグ戦は5試合連続で先発出場となる。シーズン前にレンタル先のアウフスブルクから戻った細貝だが、レバークーゼンでのチャンスは必ずしも約束されたものではなかった。味方が負傷したという運にも助けられてはいるが、耐えながらチャンスをつかみ、与えられたポジションがたとえ本職でなくてもこなしていく力強さがある。

「左サイドバックでプレイする以上、少しでも高い位置をとることが自分の課題なのかなと思います」と、自分の求めるサイドバック像もできている。しかし、それはレバークーゼンで求められるものとは少し違うようだ。

「アウフスブルクにいるときは、もっといろいろなことをやらなきゃいけないかなと思ってプレイしていました。でも、レバークーゼンのような環境の中にいると、自分がひとつのことに集中することができれば、攻撃陣は攻撃陣で点を取ってくれる」

 もちろん役割をこなすことが第一ではあるが、守備だけで満足できるタイプでもない。言葉尻からは少々ジレンマを感じていることもうかがえた。とはいえ、残留争いから優勝争いへとプレイの場を移したことで、意識は大きく変わった。

「去年はどうにかして勝たなきゃいけない感じでしたけど、やっぱりこのチームは(当然のこととして)勝たなきゃいけない。今も決して良い順位にいるということではないし、上位陣を越えていけるようにやっていかなければ、と」

 ブンデスで早くも2つ目のチームで戦う2人。共通するのは自分の道を自分で切り開こうとする力強さかもしれない。


了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
photo by Getty Images

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121128-00000304-sportiva-socc