サッカーニュースを中心としたまとめ


2012年12月18日

image




12月15、16日に行なわれる第17節を終えるとウインターブレイクに突入するドイツ・ブンデスリーガ。ドルトムントでプレイしていた香川真司がマンチェスター・ユナイテッドに移籍したものの、今季も新たに清武弘嗣と酒井宏樹がドイツにやって来て、トータル9人(1部)の日本人選手がプレイしている。もちろん、9人の中には期待通りの活躍を見せている選手もいれば、不本意なシーズンを送っている選手もいる。今季の前半戦を振り返って、現地ドイツで実際に評価されている日本人選手は誰なのか。ドイツサッカー協会S級ライセンス保持者で、ブンデスリーガの解説者として活躍する鈴木良平氏に分析してもらった。

 現在最も高い評価を得ているのは、移籍初年度にもかかわらずニュルンベルクの大黒柱として活躍する清武弘嗣だ。

 開幕からスタメンを確保した清武は、セットプレイのキッカーとして数々のゴールをアシストし、流れの中でも持ち前のボールキープ力と鋭いドリブルを武器にチャンスメイク。自らも3ゴール(16節終了時点)をマークするなど、期待通りの活躍を見せている。

 特に、毎試合安定したパフォーマンスを見せている点が高評価の要因となっている。これまでトップ下や右サイドでプレイしている清武だが、どちらのポジションでもハイレベルなパフォーマンスを見せており、ヘッキング監督とチームメイトからの信頼も厚い。

 現地メディアでも「ミニ香川」という表現で開幕当初から注目を浴びて、今ではチームナンバ-1の露出度を誇っている。香川がイングランドに去った今、ドイツメディアが最も注目している日本人選手は清武と断言していい。

 このままニュルンベルクで活躍し続けることができれば、強豪クラブからの引き抜きの噂が浮上しても何ら不思議はない。おそらく、いくつかのチームが来季の補強選手として、すでにリストアップしているはずだ。

 清武に続くのは、ブンデスリーガ3年目となるシャルケの内田篤人だろう。

 もっとも内田の場合は、ステフェンス監督に最初から評価されていたわけではない。過去に指導を受けたマガト監督やラングニック監督のときもそうだったが、フィジカルの弱さから露呈する守備面の脆さを不安視されていた。

 それでも最近は、移籍当初と比べるとかなり守備面もレベルアップし、フィジカルも強くなった。今シーズンは早々に監督の信頼を得て、ファーストチョイスの右サイドバックとしてプレイしている。

 最大の特徴である攻撃参加と精度の高いクロスは健在で、何と言っても右サイドアタッカーのファルファンとのコンビネーションがいい。ファルファン自身も内田とのプレイを好んでおり、このふたりの縦関係は今のシャルケに不可欠なパーツとなっている。

 サイドバックというポジションだけに常にスポットライトを浴びているというわけではないが、現地メディアも安定した内田のプレイに及第点を与えている。露出は少なくても、シャルケという強豪クラブでレギュラーを勝ち取って、何ら問題なくプレイしていること自体が、十分に評価されている証拠だろう。

 今、ドイツ国内での評価が高まる一方なのが、昨シーズンの冬の移籍でシュツットガルトに加入した酒井高徳。2年目を迎えた今季も、堂々とレギュラーとして活躍している。

 酒井が評価されている最大の理由は、左右どちらの足でも正確なキックが蹴れることにある。それもあって、ラバディア監督は加入当初から左サイドバックのスタメンを張っていた酒井を、今季から右サイドバックにコンバート。選手層の薄い右サイドバックの穴を埋めることに成功し、さらに評価を高めた。

 また、第16節のシャルケ戦では、酒井が周囲から厚い信頼を寄せられていることを証明するシーンがあった。

 それは、危険なスライディングをして退場処分受けた酒井に対する周りの反応だ。ボビッチGMが酒井に駆け寄って肩を叩いて慰めれば、監督やチームメイトもレフェリーに向かって激昂し、酒井を擁護した。そうした光景は、ドイツではほとんど見られない。そこから、酒井がいかにチーム内で重要視されているのかがうかがえた。

 日本での報道は少ない酒井だが、フロントは酒井が日本代表に招集される際には常に不満を漏らすなど、現地ドイツにおける評価は日本人選手屈指のレベルになりつつある。

 6シーズン目を迎えたヴォルフスブルクの長谷部誠も、マガト監督が解任されてからようやく本領を発揮し始めている。

 最近のマガト監督は、選手の獲得や補強などの人事権に執着し、自分の意に反する移籍行動などを起こした選手を冷遇するようになった。長谷部はその影響をもろに受けて苦悩の日々を過ごしていたが、その期間をじっと耐え、我慢したことが、今になって実を結んだ格好だ。

 長谷部が評価されるのは、そうした精神的な強さがひとつ。そして、労を惜しまずチームに貢献できることと、監督の指示を忠実に実践できることにある。

 現在、指揮を執るコストナー監督はもともとBチームを指導してきた人物だけに、そうした長谷部の良さをよく理解している。ゆえに、監督交代後は長谷部をすぐにレギュラーに抜擢した。

 その後も、感情に流されず、常に冷静な評価を下す指揮官から、長谷部はスタメンを任されている。そこに、長谷部の評価の高さが示されている。

 シーズン序盤でセンセーショナルな活躍を見せたフランクフルトの乾貴士も、現地で評価を得ている日本人選手のひとりだ。

 特に、開幕から6戦無敗(5勝1分け)の快進撃を見せたチームの中にあって、乾のパフォーマンスは出色だった。キレのあるドリブルと卓越したボールテニックで決定機を演出し、メディアでも清武と並んで話題を集めた。

 それが最近は、チームの不調とともに乾自身のパフォーマンスも低下。ここ数試合の乾は自信喪失気味なので、得意とするドリブルの仕掛けも見られなくなっている。取り上げるメディアもほとんどなくなってしまった。

 海外で活躍する日本人選手は増えても、乾のように2部で実績を残して1部に這い上がってきた例は少ない。そこは評価されるべきだし、彼のポテンシャルの高さはドイツでも認められている。それだけに、後半戦では巻き返しを期待したい。

鈴木良平●解説 analysia by Suzuki Ryohei
photo by Getty Images

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121217-00000301-sportiva-socc

 










この記事へのコメント

コメントを残す
「※、米、>>」でコメント欄へのポップアップ付き安価が飛ばせます。
コメントフォーム
記事の評価
  • リセット
  • リセット

ページトップへ戻る