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2012年12月21日

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長友佑都の進化が止まらない。


 スクデット・レースで首位ユベントスを追うインテルの主力として奮闘を続ける中、彼のプレーエリアは大きく前へ移動した。

 今、長友佑都の主戦場は、ハーフウェイラインより前方にある。

 もはやサイドバックというより、攻撃重視のウイングハーフといった方が近い。

 イタリア語で表すと“メッザーラ”というポジションだ。ストラマッチョーニ監督からも頼りとされる不動のレギュラーとして、長友は新たな境地を開きつつある。

 「3-4-1-2」と「3-5-2」を使い分ける現在のインテルにあって、“メッザーラ”長友の攻撃プレーオプションは「タッチライン際を縦へ突破」し「ペナルティエリア手前で切り込んでのシュートもしくはクロス」、もしくは「敵陣最深部まで進入後、ニアポスト近辺まで切り込んでのクロスかシュート」の3つに集約される。

 左サイドで躍動する長友の一連のプレーエリアを長短3辺に見立てると、「F」の字状になる。


■長友の新たなポジションを象徴する“ゾーンF”の意味。

 この「ゾーンF」では、ポジションが前に上がったことでサイズのハンデは抑えられ、むしろ一対一で仕掛ける場面では低重心が活きる。

 守備の場面では自陣に素早く戻り、左CBのフアン・ジェズスのフォローをこなすが、カウンターで再び前線へ特攻するや「ゾーンF」を攻略して、決定機へ絡む場面が増えた。

 先発を温存されたELグループリーグ最終節ネフツチ戦では、後半8分から途中出場すると、1分も立たないうちにFWリバヤへ電光石火のアシストを決めた。

 敗れはしたものの、17節ラツィオ戦でも前半から積極的に仕掛けた。

 後半27分、左サイド最深部からペナルティエリア内へ抜けると、右ポストに当たったFWカッサーノのシュートの跳ね返りへ鋭く詰めている。


■御意見番の大御所OBも「本当に重要な選手」と大絶賛!

 負け試合にも関わらず、インテルの大御所OBベルゴミは、イタリアSKYの試合中継で長友を絶賛した。

「今季は高めのポジションに張っていることが多いが、攻めてよし、守ってよし。一対一にも強いし、何より走る。味方のピンチにあのスピードで自陣に戻ってこられる選手は他に見当たらないよ。最近では攻撃の主導権すら握っている。長友はインテルにとって本当に重要な選手になった」


■新生インテルの呼び水となった、スナイデルの負傷離脱。

 インテルの戦術的転機となったのが9月下旬の第5節、キエーボとのアウェーゲームだった。

 開幕から不安定だった守備陣を再整備するべく、指揮官は3バックを導入。まだ粗さを残す内容ながら効率的にゴールを奪い、無失点勝利を収めたことで手応えをつかんだ。

 11月初旬に、敵地トリノで王者ユーベを破ると、チームの士気はがぜん高まった。

 キエーボ戦での司令塔スナイデルの負傷離脱は、監督ストラマッチョーニにとって戦術再編成の呼び水となった。3冠シーズンの立役者も復帰前に契約更改問題がこじれ、1月の移籍市場での離脱も濃厚だ。

 その一方で、バレージ助監督との特訓により、左足クロスの精度を高めた長友は、タメを作れるFWカッサーノとのコンビプレーに磨きをかけ、サイドアタックの効果を倍増させた。

 左右を問わないマルチユーティリティは長友の武器だが、やはりカッサーノと組む左サイドでのプレーは切れ味がちがう。

 インテル番記者には「今のポジションこそユートの天職だ」と言う者もおり、来年6月のコンフェデレーションズ杯では、日本代表のユニフォームを着るインテルの55番に、多くのイタリア人があらためて刮目するはずだ。


■監督は「インテルの将来を担う選手」と最高の評価。

 サイドの攻防に挑む長友をつぶさに観察すると、相手マーカーとの競り合いや、頑強なDFたちによるファウルすれすれのプレーに一歩も引かないタフネスに驚く。

 どれだけ戦術的に価値ある選手でも、90分間もたないヤワな身体では信頼されない――選手の戦術的価値は、フィジカルとテクニックという両翼が揃ってこそ意味があることを長友は教えてくれる。

「一対一で相当強くなったし、何をすべきかわかるようになった。長友こそインテルの将来を担う選手だ」

 選手の評価をするとき、ストラマッチョーニはリップサービスなどしない。

 冬の市場でスナイデルが去ることになれば、3年前の3冠シーズンの象徴だった6人のトッププレーヤーたちのうち残るのはFWミリートだけだ。いよいよ加速するインテルの世代交代にあって、これからキャリアハイを迎えようとする長友が、新世代の名門クラブの先頭に立つ。

 逆転スクデットに向けて、「ゾーンF」を攻略せよ。

 新ポジション“メッザーラ”から、長友のアタックは続く。





(「欧州サムライ戦記」弓削高志 = 文)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20121221-00000001-number-socc











この記事へのコメント

コメント一覧

    • 1. 名無し
    • 2012年12月21日 20:32
    •  ID:H01xtsL40
    • メッザーラってウイングバックやなくてインサイドハーフやないんか?
    • 2.
    • 2012年12月21日 21:44
    •  ID:6Vh9Kyhw0
    • インサイドハーフっていうのは初期位置がもっと中でボランチメインでサイドのカバーもする選手だからちょっと違う
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