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マンチェスター・ユナイテッドの香川真司、ケガからの復帰第2戦はベンチスタート。前節WBA戦ではいきなりのスタメン出場で復帰しているため、”レギュ ラー”として復帰し、このウィガン戦も続けて先発出場するような感覚で取材に向かったのだが、そんなに甘くはなかった。もちろん、昨年末の23日から中2 日でリーグ戦が4試合続き、さらに中3日で1月5日にはFAカップ、ウェストハム戦が控えていることもベンチスタートの理由だろう。

「メンバーは試合前に言われるのですが、別に、(ベンチスタートで)驚くことはなかったですよ。先発でもベンチスタートでもどちらでも準備していたので」


 ターンオーバーで常に選手を回して使うこのクラブの常識から考えれば、香川のベンチスタートは当たり前のことだった。


 布陣は前節の4-2-3-1から4-4-2に戻し、エルナンデスとファン・ペルシーが2トップを組んだ。右にはヤング、左にギグスが入る。だがバランスは悪く、攻めるにせよ守るにせよ組織を感じさせることはなく、全て個人での対応に終始する。


 対するウィガンは3-4-3。ボールを奪ってからはサイドを使い一気に攻める。中盤の両サイドには高い運動量が求められるため、時間とともにフレッシュ さが失われていくのが難点だが、前半は決してマンUの好きにはさせなかった。しかし、マンUはセットプレイのチャンスやちょっとした相手のミスを見逃さ ず、最終的にはエルナンデスやファン・ペルシーの高い個人技で4得点をあげる。立ち上がりから前半30分くらいまでの印象からは、そんなゲームになるとは 思えなかった。個人の能力の高さをベースに組み立てられるマンUの強さは、裏返せば弱さでもある。


 香川の投入は68分。スコアはすでに3-0で、勝負はついていたも同然だった。香川はアシスタントコーチとファーガソン監督の2人から指示を受ける。内容はシンプル。「ポジショニングとセットプレイのこと」だったと言う。


 交代したのはボランチのキャリックで、香川はそのままボランチに入った。練習でも試したことのないポジションなのだそうだ。


「無失点で抑えることが大事だった。まあ(得点を)入れられずに来ていて、3-0で勝ってたので、あのポジションに入ったということはそこを求められたのかな、と。あとは攻撃でチャンスがあれば出ていきたかったですけど」

 
香川はボランチでの投入の意図を彼なりにくみとってプレイした。だが、そのプレイはあまりにも守備的。クレバリーとバランスを取り合うというのでもなく、 フラットな状態で守備を優先させていた。たとえ前にスペースがあっても前線に預けただけで出ていくことはしない。81分にはロングボールをギグスに供給し チャンスを演出するが、香川自身がその先に絡むことはなかった。89分にファン・ペルシーが追加点をあげて4-0となると、ロスタイムには味方とのパス交 換から一気にペナルティエリア内に走り込む。ウェルベックが右サイドからクロスを入れるがこれはディフェンダーに弾かれ、香川はシュートを打つことなく終 わった。 

「やっぱりペナルティエリアに入っていきたいですし、(後半ロスタイムのシーンでボールを)もらえなかったですけど、続けてやっていくしかない。感覚は悪くないですし、次のチャンスに生かせるように頑張っていきたいです」


 取材中、香川は「まだ復帰から2試合目なので」と繰り返した。納得いくプレイでは決してないが、自らの力で実現していくしかない。「試合に出ていることに感謝している」とも言う。名門で自分の納得のいくポジションを手に入れることは、当然ながら簡単なことではない。


了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130102-00000310-sportiva-socc